学視連のビジョン

本連盟のビジョンを紹介致します。


 1 視聴覚教育が目指すもの

 視聴覚教育の研究活動は、全体として教育の改革、直接的には授業改善への意欲に支えられている。昭和24年、本連盟の発足以来、視聴覚教育の果たした役割は大きなものがあり、また、21世紀を生きる子どもたちに求められる力を育むために、視聴覚教育に期待されるものは大きい。
 視聴覚教育の研究活動は、学校教育の改善を具体的に実現するために行う視聴覚的な教育実践活動である。学校は、子ども自らが学習していくのに適した環境であり、そして、学習を成立させる条件を与える人や事物をメディアであると広義に解釈したとき、学習環境の整備とそれを活用した指導方法や学習方法の改善に、視聴覚的方法の活用は不可欠であり、その理論と実践技術を向上させることは教育実践者の急務である。
 21世紀に生きる人間育成のために、全国の学校には、これまでの教育機器に加えて、情報通信技術(以下ICTと表記)を生かした新しい設備やシステムが導入され始めている。文部科学省では、平成23年に教育の情報化に関するビジョンを示した。そこでは、教科指導におけるICT活用、情報活用能力の育成、校務情報化の推進など、これまでの学校とは大幅に異なる学校づくりや学びのスタイルを描いている。学視連では、全国のすべての教室で、ICTを生かし、視聴覚的手法を取り入れた学びが日常的に展開され、生きる力を育む教育が展開されることを目指している。
 以上、平成20年代においては、視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適切な活用を図るとともに、現在進められている教育改革、とりわけ教育の情報化の実現に努めることが、本連盟の役割である。

2 研究の方向とその内容

(1)「21世紀に生きる力の育成」と視聴覚教育の役割
21世紀の社会を生きる子どもたちには、その時代に必要な基礎的・基本的な知識・技能の習得と課題解決のための思考力、判断力、表現力等の育成が求められている。 学校教育の情報化が進む中で、これらの育成に視聴覚教育が果たす役割を明らかにし、実践的な研究を推進する。
(2)「21世紀にふさわしい学び」と指導方法の改善
21世紀の学校では、一斉指導による学び・個に応じた学び・協働的な学びなど、それぞれの学びの場において、ICTやデジタル教 材が大きな役割を果たすと期待されている。そのために、各教科等の指導において、どの教室でも日常的に効果的な学習が展開されることをねらいとして、実践的な研究を推進する。          
(3)「21世紀の社会」と情報活用能力の育成
21世紀の社会では、これまで必要とされた資質能力に加えて、新しい時代のスキルが、ますます必要とされる。視聴覚教育では、とりわけ、コミュニケーション能力の育成をこれまで以上重視するとともに、「情報活用能力」と「情報モラル」を子ども達に身につけさせるため、日々変化する情報化社会の進展に対応できる指導法について、実践的な研究を推進する。
(4)「21世紀の学校」と校務情報化の推進
21世紀の学校では、教育活動の質の向上と学校経営の改善を図るために、ICTを利用した「校務処理の効率化」「教職員の情報共有」「家庭や地域との連携」を進めている。校務の情報化が全国的に円滑に進むために、その普及のための活動に取り組む。

3 研究計画

(1)主題  21世紀にふさわしい学びの環境を実現するために、ICTを活用した学習の視聴覚化を工夫しよう
(2)研究の焦点
 A 授業設計   教科指導等にどのようにICTを選択し、位置づけ、その成果を評価したか
 B 学習形態   一斉・個別・協働、それぞれの学習で、どのようにICTを活用したか
 C 教材活用(1) デジタル教材を、授業や学習にどのように位置づけ、活用したか
   教材活用(2) 指導者用デジタル教科書を、授業者はどのように活用したか
   教材活用(3) 学習者用デジタル教科者を、学習者にどのように利用させたか    
 D 情報活用  情報活用の系統的、効果的な学習を、どのように普及させたか
 E 校務情報化 校務処理システムの導入によって、どのように学校教育を変化させたか
 F ICT日常化 ICT利活用の普及のために、どのように日常化、標準化を図ったか

4,本連盟の取り組むべき謀題

 (1) 研究活動の強化
研究活動が教育実践を支え教育実践が研究団体を育てる。研究の深化・拡充、若年研究者の育成、研究会の活性化等をつねに点検・評価L、適切な対策を講じる。特に近年の難しい諸条件の中で、その運営に尽力している各地区研究会の活性化を支援し、連携を図る。
 (2) 情報交流の促進
学視連情報を大切にするとともに、各機関での情報交流の活発化を図る。同時に、ウエッブページ、メール、月刊誌など、全国的なネットワークを通して、研究成果の収集と伝達にあたる。
 (3) 研究大会の開催
研究の成果をブロックや全国各地で開催する大会は、研究を整理する機会であるだけでなく、新たな課題への出発点でもあり、組織をより活性化させるとともに研究への情熱を広く波及させる。また、情報教育の系統性や多様なメディア研究の融合を図るために、関連研究団体との合同開催による連携を図りながら、その運営に総力をあげる。
 (4) 他団体との連携
本連盟の研究領域は、各教科や領域、学校運営や家庭・地域との連携など、広範囲にまたがるので、それぞれの団体との連絡・協議を密にすることで、その連携を強化するとともに、視聴覚教育・情報教育分野でその中核としての役割を果たす。
 (5) 教育行政への提言
文部科学省の委嘱研究事業に協力するとともに、教育現場の実態や要望をもとに、視聴覚教育の充実に関する提言を積極的に行っていく。